データマーケティングとは?何から始めるべき?
生活者のライフスタイルがデジタル技術により大きく変化し、「デジタル活用」「DX」という言葉に注目が集まっています。
それらの取り組みでビジネス成果を生み出すためにはデジタル技術や取得データを活用し、「ユーザー体験をより良いものにできるか」が鍵となります。
今回はDX(デジタルトランスフォーメーション)を語るうえで欠かせない「データマーケティング(データドリブンマーケティング)」とはどういうものなのか。そしてどのように計画し実行していくべきなのかというポイントについて解説いたします。
データマーケティング(データドリブンマーケティング)とは?
データマーケティング(データドリブンマーケティング)とは、「どんな体験/プロダクトを提供すべきかの意思決定を
生活者の視点に立って、データを用いてロジカルに行うこと」です。
売上のレポートを作る/見るだけ。こうあるべきだと思いつきだけでアクションする。
これらはデータドリブンマーケティングとは呼べません。
なぜ売上が落ちてるのか。生活者にもっと使ってもらうためにはどうしたらいいのか。
これらをデータからユーザーの気持ちを推察して考えていくことこそがデータマーケティング(データドリブンマーケティング)の本質です。
(例)電子コミック配信サービスのデータマーケティング
売上を伸ばすための新機能開発を企画するとしましょう。
その時も思いつきで企画するのではなく、LTV(顧客生涯価値)が高いユーザーと低いユーザーの違いがどこにあるのかをデータ分析し、下記のようにどのような体験が必要なのかを分析結果から推察し企画することで、ユーザーのニーズに沿った最適な企画アイデアを生み出すことができるでしょう。
(例)ディーラー店舗でのデータマーケティング
車の販売店で自店舗の販売力強化を目的に施策を考えるとします。
その場合もまずは店舗での「顧客体験のフェーズごとにどこの離脱が多いのか」や「スタッフごとの販売成績」をデータから明らかにし、どのような接客対応が該当フェーズに置いて必要なのかを特定すると良いでしょう。
データマーケティング(データドリブンマーケティング)を行う意義
具体的にイメージできましたでしょうか?
このように、データマーケティングでは自社に蓄積された様々なデータを、目的に応じて適切な切り口でデータをまとめることで生活者のニーズを発見でき、どんなアクションを起こすべきかアイデアを考えやすくなるというメリットがあります。メリットももう少し噛み砕いて3つに整理してみました。
(ポイント1)事業アクションのアイディアを考えやすくなる
ディーラー店舗でのケースのように、「売上をあげるためのアクションは?」と大きなテーマで考え始めると「来店を増やす、試乗してもらう、セールストークを聞いてもらう、セールストークの質を向上させる」など可能性が多すぎて何から手をつけていいかわからないのではないでしょうか。
しかし顧客フェーズごとの離脱率を測り、どの顧客フェーズに課題があるのかを特定することで検討事項が絞られるため、アイディアを考えやすくなります。
(ポイント2)事業成長に向け優先すべきアクションを意思決定できる
いくつかアクションアイデアが浮かんだとして、全てを同時に進行することは難しいので優先度をつけてどのアイデアから実行するか決める必要が出てきます。
そのような場合でも、アイデアごとに事業インパクトをデータから試算することで合理的な意思決定を行えるようになるというメリットがあります。
(ポイント3)プロジェクトに関わるメンバーの共通のモノサシになる
ポイント2とも関連しますが、例えばアクションの優先度を検討する際、自分の主観や感覚に頼ると人間の思考は異なって当然なのでなかなか折り合いがつかないという事態になりやすいです。
しかし主観やフィーリングでの議論ではなく、ユーザーのデータを元にした客観的な議論ができると尺度を揃えた議論ができるため効率的な判断が可能になるでしょう。
データマーケティング(データドリブンマーケティング)先進企業の特徴
ここまでデータマーケティングの意味や意義についてご説明しましたが、次にデータマーケティングを巧みに使いこなしている企業はどのような特徴があるのかをご説明します。
「何を売るか(モノ消費)」ではなく、「どのような体験を提供するか(コト消費)」が重要な時代と言われているなか、データマーケティング先進企業は提供している商品やサービスを所有/利用することで得られる価値をベースに、根底にあるニーズや周辺にあるニーズを的確に捉えて提供体験を拡張しながらデータ活用を実現しています。
例えば保険業界では、「リスクに備える保険」を売るだけではなく、「リスクを減らす健康行動のサポートを受けられる」という体験を提供するケースが多くなってきています。
健康診断の結果やどのような健康行動を行なっているかなどのデータを取得し、それらを分析することで実データを元にした病気のリスクや対策アドバイスをユーザーに還元できるだけでなく、未然に防ぐことができれば保険会社としても支払う保険金が減るというメリットがあります。
このように既存の提供価値からユーザー体験を拡張しながらユーザーを深く理解するためのデータ取得を行い、そのデータをユーザーに還元しつつ事業メリットも生み出すという点が先進企業の特徴と言えるでしょう。
データマーケティングを始めるために考えるべきポイント
考えるべきポイントは、どんなデータを取得すべきか設計する「IN-PUT」と、どのようにユーザー体験に還元するかという「OUT-PUT」です。
ポイント1:INPUT(どんなデータを取るべきか)の計画プロセス
STEP1:どんな切り口でユーザーをセグメント分類するとニーズに違いが出そうかを考える
STEP2:どんな項目があればそのセグメントを作成できそうか
STEP3:その項目をいつ、どうやって取得するか
STEP4:取得する代わりにどんなメリットを提供するか
このようなステップで検討されるのが良いかと思いますが、いろんな可能性を探るためプロジェクトメンバーでブレストすることがおすすめです。
ポイント2:OUTPUT(どのようにユーザー体験に還元するか)のパターン
一般的には以下のパターンが多いと思います。
データマーケティングを本格的に始めようとされる方はぜひ参考にしてください。
パターン1:1to1コミュニケーション
取得したデータを元にユーザーごとに最適化されたコミュニケーションを行う。
パターン2:マキシマイズ
取得したデータを元に新機能開発や新店舗開発、新料金プランを提供する。
パターン3:ゼロナイズ
顧客フェーズごとのファネル分析と離脱ポイントの改良を行う。
データマーケティング(データドリブンマーケティング)を実行するために必要なスキルや人材
ここまでご説明した事業アクションを計画し、実行するためには下記の図のように多岐に渡るスキルセットの人材が必要になります。
ただし、全ての人材が揃っている企業は非常に少ないので、足りないスキルはパートナーを頼りましょう。
我々パートナー企業には様々な業界を支援して来た経験値があり、それらを自社プロジェクトに活かすことができます。
最後に、DXについて具体的にどのようなプロセスで課題を抽出し分析・整理していけば良いのか。その後どのようにプロジェクト化していけば良いのかについてさらに詳しく知りたい方向けに無料eBookを公開しております。是非ダウンロードしていただき、明日からのDX推進業務の参考にして頂けると大変幸いです。
弊社、博報堂アイ・スタジオは、博報堂グループでデジタル系の高度な制作業務を一手に担い、大企業のデジタルマーケティングの戦略策定から実行支援、その仕組を支えるシステムの開発などを行っておりました。
そうした業務を経て、幸いにしてデジタルトランスフォーメーションに必要なノウハウを持ち合わせております。初回相談は無料ですのでまずはお気軽にお問合せください。
- 博報堂アイ・スタジオ小野 裕明(おの ひろあき)2010年にスマートフォン向けの音楽やマンガなどのエンタメコンテンツの配信サービスを提供する事業会社に入社しグロースハック業務や新規事業の立ち上げを担当。 デジタル領域の自社事業運用で得た経験を多業種多企業の事業支援に活かし支援していくために博報堂アイ・スタジオに転身。 現在はクライアント企業のもつデジタルサービスのKPI設計から、定量データや定性データを分析し、事業成長に向けた課題分析や施策立案、実行をサポートするグロースハック業務を担当。
デジタルマーケティング領域で支援できること
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